快挙
113番元素ウンウンウントリウム(仮名)は他の超重元素と同じく、合成・発見の競争が繰り広げられていた。ライバルは常連のロシアとアメリカの研究チーム。それに対し日本の理化学研究所は粘り強い実験を継続し、2004/6/23、2005/4/2、2012/8/12と3回の合成に成功し、その放射壊変履歴(いわば113番元素を証明する履歴書)を観測し、113番元素である事を証明した。
これにより日本の研究チームに命名権が認められ、2016/11/30にニホニウム(Nh)という名前が正式決定された。
名前は、ジャポニウム Jp(ジャパニウムだとマジンガーZの超合金になってしまう)などの候補もあったが、幻と消えたニッポニウムの一件(一度提案された名前は、新たに新名称とする事ができないIUPACの慣例がある)もあったため、日本語にこだわり「ニホニウム Nh」になった。(Nihoniumと書くが英語圏ではナイホニウム、フランスではニオニウムと読まれそうなリスクはあるが)名称決定から5ヶ月後の2017/4/26に発行された「理化学研究所創立100周年」切手の一枚に、そのニホニウムが取り上げられた。
図案はビスマスBi原子核に亜鉛Zn原子核をぶつけてニホニウムが合成され、さらに日本に命名権をもたらした根拠となった放射壊変していく履歴を描いている。それぞれの壊変はα崩壊なので、1ステップで原子番号が2ずつ小さくなっている。これはメンデレビウムまでトレースできた2012年の結果に対応している。(2004年と2005年の観測ではドブニウムが核分裂を起こしてしまい、そこまでのトレースしかできていなかった)この切手は登場するのも早くて素晴らしいが、科学切手としても良く出来たデザインと言えよう。また、シート地にもなかなか粋な細工がしてあります。
さらに詳しい事は理化学研究所の特設ページをご覧ください。