ああ、幻のニッポニウム(Nipponium)
この元素の存在は周期表により予測されていた。
そしてかつてこの謎の元素の発見にいろいろな研究グループが挑戦していった。1904年から2年間ラムゼーのもとに留学した小川正孝からも発見の報告がなされ元素名をニッポニウム(ジャパニウムではありません)と命名したが、確証が得られず最終的に否定された。(「化学と工業」1999年3月号にその顛末の記事あり。実際には当時未発見だった75番元素レニウムだったらしい)すったもんだあったものの、結局どのグループも発見には至れなかった。
それもそのはずこの元素は天然には存在しない*。 1937年にサイクロトロンを使ってセグレらによって作り出された。これが最初の人工元素である。1元素名はギリシャ語の「人工の」(technikos)に由来する。
しかし、他の人工元素から離れて周期表の真ん中にぽつねんと人工元素(テクネチウム)がいるのは何だか不思議な気がする(原子核の構造の問題とは思いますが)。*:ウランが自発核分裂するとテクネチウムを生成する事があるので、現在はウラン鉱石にごく微量存在すると認められている。