サント=クレール・ドビーユ ナトリウムを使った工業製法を開発し純粋なアルミを得る パリ万博(1885)にアルミ棒を出品 アルミは軽い金属なので飛行機や自動車にも利用される |
エルーさんとアルミ溶融塩電解 ホルーさんとは互いに面識無し 誕生/死亡年も同じという偶然 |
固い絆
1円玉やアルミホイルでおなじみみアルミニウムは豊富に存在(地球地殻では酸素、ケイ素に次いで三番目)している元素。金属としては1825年エルステッドにより塩化アルミニウムを強制的にカリウムアマルガムで還元する事で発見されている。これは鉄や銅といったおなじみの金属の登場に比べかなり遅い。その後ボーキサイトから得られるアルミナを電気的に還元するホール・エルー法(アメリカの C.M.ホールとフランスの P.エルーにより1886年に独自発明 アルミナの融解を促進するために氷晶石Na3AlF6を使うのがミソ)が開発されて現在のような生産体制となった。その精錬で大きな電力が必要な為、アルミは「電気の缶詰」とも評されている。(だからアルミ缶のリサイクルは大きな省エネ!)
このように金属アルミニウムが取り出しにくいのは、アルミニウムと酸素の強い結合力のせいとも言える。例えば「テルミット反応」というのがあるが、これは酸化鉄とアルミニウムの粉末を混ぜて着火するとアルミニウムが鉄から酸素を奪い結合して閃光を放ちながら発熱し還元された鉄ができるという反応である。これは鉄に比べても、アルミニウムの酸素との結合がエネルギー的に発火して余りあるほどより強い事を反映している。派手でインパクトの残る実験だが、家庭などでやるにはちょっと危険なので、Youtubeなどで検索して一度見てみる事をお勧めします。
これだけ酸化しやすいなら一円玉やアルミホイルが発火しないか疑問に思うかもしれないが心配ご無用。鉄などと違い、アルミニウムは表面に安定な酸化被膜が出来るがそれ以上深くは酸化が進行せずボロボロに腐食しないという特徴がある。このような酸化被膜を不動態と呼ぶ。これを利用したのが理化学研究所が開発したアルマイトである。またアルミニウムは周期表上で金属と非金属の境界にあるため、酸にもアルカリにも溶け両性元素とも呼ばれている。
なお元素名は、大きな結晶を作る実験でもおなじみのミョウバン(alumine ラボアジェ記載)に由来している。ただしアメリカ化学会はアルミの金属光沢から光る物(a lumine)と語呂が良いからといってAlminumにした事により、名前が面倒っちい事態になっている。