グリニャールさんと装置

グリニャール試薬

 一般に有機化合物は炭素と炭素より電気陰性度の高い非金属元素からなる事が多く、 有機分子内の炭素は若干+電荷(δ+)を帯びているケースが大半である。その為求核置換反応ではδ+同士で反発するC-C結合を作ることが難しかった。 例外的に、金属元素と炭素の結合を持つ化合物では炭素が−電荷(δ-)を帯びる事はできるが、そのような金属有機化合物はその反応が過激で制御が難しかった。

 そこに現れたのがハロゲン化アルキル(Rδ+-Xδ-)に金属マグネシウムを反応させて作ったグリニャール試薬(Rδ--Mgδ+X)。

 マグネシウムの高い電気陰性度の為、アルキル基(一般的には有機基)は電荷が逆転しδ-となるが、比較的安定(それでも水分は厳禁!)なので合成も容易で取り扱いやすく、これまで難しかった求核置換反応によるCーC結合合成を簡便にし、有機合成の幅を格段に広げた。 この功績によりグリニャール試薬の開発者であるグリニャールは1912年にノーベル化学賞を受賞している。


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