インジウム発見
液晶、プラズマ、有機ELに用いられるフラットパネルディスプレイの透明電極材料として今では欠く事の出来ないITO(酸化インジウムスズ)の一成分元素インジウムは現在資源の枯渇が懸念されています。 なお、その発見は今を遡る事約150年程昔の1863年ドイツのフライベルクでF.ライヒ(1799-1882)とH.T.リヒター(1824-1894)の手によってなされました。右の写真は1988年に発行されたインジウム発見125周年の絵入り葉書の一部です。(原本はベルグ科学アカデミー・フライベルグの古図書館の写真) 裏面には発見の経緯について書かれています。 ちょっと長いですが訳しますと・・・(元はドイツ語なので、ドイツからの留学研究者に協力してもらいました)
「少量だがいくつかのタリウム(1961年発見なので当時新元素として注目)化合物が製錬して得られるため、塩化亜鉛粗鉱(閃亜鉛鉱という文献もあり)が分光学的に研究された。 その発光スペクトルではタリウムの輝線スペクトルは見られなかったが、代わりに未知のインジゴ色(藍色、ラテン語でindicum ⇒インジウムの名前の由来)のスペクトルが観測された。 塩化物、酸化水和物、金属の形態をした想定された極めて少量の物質は単離され、塩酸で湿された。(結局全部塩化物にしたという事?) それから、明るく鋭く安定した輝線スペクトル(波長451nm)が得られ、それは我々がインジウムと呼びたい新元素の存在を示す物である。引用文献:Reich, F. と Richter, Th., 新金属に関する暫定的メモ, Journ. f. prkt. Chemie, 89, 15 (1863), p.441
フライベルク鉱山大学の教授であり溶鉱炉研究室委員会のメンバーであるF. Reichは新元素を発見した。 それは彼の助手Th. Richterにより分光学的手法でなされた。(Reichは色盲だったためRichterに確認させた)」