いやそりゃ大変でしたな
ジスプロシウムの発見は、1886年にフランスのボアボードランがホルミウムの中に別のスペクトルを持つ新元素が含まれていた事を確認した所から始まった。そこからジスプロシウムを取り出すには、水への溶解度のわずかな差を利用して再結晶をただただひたすら繰り返すしか当時は手がなかった。その大変さのあまり、元素名はギリシャ語の「近づき難い」から命名された。 (地殻には6ppmもあるので存在量自体はべらぼうに少ないという訳ではない なお現在はイオン交換法を使って分離できるようになって大分楽になっている)単離はフランスのユルバンの手によってようやく1907年に成功している。
ジスプロシウムは中性子を吸収しやすい性質があるため、鉛などとの合金は原子炉では制御棒などの遮蔽材として使われている。
3価のジスプロシウム(Dy3+)は光のエネルギーを貯めてユーロピウム(Eu2+)などの発光体に渡す性質を持つため、蓄光材料の成分にも利用されている。
また1970年にアメリカ海軍兵器研究所(Naval Ordance Lavoratory)で開発された、テルビウムと鉄との合金である「テルフェノール-D」は最も高い磁歪(磁場をかけると伸縮・変形する現象)を示す。この性質を利用して、低周波高出力水中ソナーが作られた。(海軍なだけに)