無機物で一番有名な物、「塩化ナトリウム」は平たく言えばいわゆる一つの「お塩」です。化学式で書くとNaClですが、別にこれはナトリウム原子(Na)と塩素原子(Cl)が一対一の結合した化合物ではなく、左切手のようにナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl- 塩素イオンとは呼ばれません)が立体的に交互にならんだ構造をもっており、強いて言うならこの構造体=結晶で一つの分子と言えます。ですからNaClは分子式では無く組成式です。ナトリウムイオンと塩化物イオンは大きさのバランスが良い為、結晶構造図(左)でも分かるように立方体の形をしており、結晶の形も立方体の形をしています。家にある「お塩」も虫眼鏡等でよくよく拡大してみれば立方体の形の集合体である事が判るはずです。(さぁ、君も実際のお塩を見てみましょう!)
なお塩化ナトリウムは本来文字通り塩辛いですが、天然物の塩に少し苦みがあるのはマグネシウムイオン(豆腐のにがりなどに使われてます)等の微量成分による物です。