ビタミン足りてますか?

 お客さんお客さん、最近疲れやすくなってませんか? そら、ビタミン不足かもしれませんなぁ。
ビタミンは「体の潤滑油」のようなもので、大量には必要としないけど、無いと身体に支障が出るという大事な代物です。 ビタミンの研究はもっぱら20世紀前半になされていますが、現在は13種が認められてます。
 それではお大事に。

ぷっつんビタミンA
ビタミンA
 ハイ、左の切手のチョビ髭おぢさんが、ビタミンAの構造を右の分子式みたいなものだと発見したカレルさんです。
 でも、カレルさんの顔が大き過ぎたせいか、細長い筈のビタミンAが途中でプッツン切られて2段に書かれてます。(数字が書いてありますが実は0番と10番は同じ炭素 繋げるとこんな感じ

 「だから何なのさ」と言われると困ってしまいますが、このビタミンAが足りないといわゆる鳥目(暗い所で目が見えなくなる奴)になってしまいます。そういう時はビタミンAが一杯入っているレバーを食べれば良いでしょう。
 ちなみに昔子供だった皆さんは肝油と聞くと懐かしいかも知れませんが、これはすなわちレバーの油=ビタミンA補給剤として食わされていた訳です。 そのまま食うとあまりに不味いので、私は幼稚園の頃は砂糖をまぶしたゼリーの形で騙されたように食べてました (@_@)


勝ち誇る男
ビタミンB1
米に埋もれた男
 脚気(かっけ)って知ってますか? この脚気明治時代には死に至る難病で知られていました。その治療法を発見したのがオランダの医師エイクマン(左)と言われています。

 ビタミンの研究は、エイクマンがインドネシアで蔓延していた脚気が米ぬか中のある成分の欠乏で起こっている事を発見した事により始まりました。 (玄米が健康食と言われている一因はコレ) 切手の背景の上のタイ米が精白米、下が未精白米というのもこういう理由からである。 なおその功績によりエイクマンは1929年にノーベル医学生理学賞を受賞しています。

 1911年フンク(右上)はその「ある成分」を取り出し初めて「ビタミン(その後いろいろなビタミンが発見されるに至りビタミンB1と分類される)と命名した。 日本でもほぼ同時期に鈴木梅太郎も同じく米ぬかからビタミンB1を取り出し「オリザニン」と命名した。 鈴木の発表が先だったにも関わらず当初日本語だったため(当時世界で日本の科学が軽視されていたという現実は否めない)か、それとも語呂が今ひとつ悪かった為か、「ビタミン」という名称の方が定着してしまいました。 残念!

「どんな構造か」ですって? それは鈴木さんに訊いてくださいな。


ヒューゴ・テオレル
ビタミンB2
 「酸化酵素の性質及び作用機序の発見」でノーベル生理・医学賞を受賞したヒューゴ・テオレルと酸化酵素の典型分子の構造式が描かれています。この分子のRの部分が糖鎖(リビトール)の場合、リボフラビン=ビタミンB2(立体構造はこんな感じ)になります。
 ビタミン入りの健康ドリンク等の鮮やかな黄色い奴(UVを当てると蛍光を示す)は大抵このビタミンB2が入っています。

 ビタミンB2が欠乏すると口角炎や口内炎ができやすく直りにくくなり、さらに欠乏が進むと成長の停止、老化の促進が起きます。このビタミンは水溶性で体内に蓄積する事ができないので、「若さ」を保ちたい人は日頃から摂取する事を心がけましょう。


ホジキンと構造図  ビタミンB12
 ビタミンB12はシアノコバラミンという物質で、これが不足すると大血球性貧血という悪性貧血になったり、神経過敏や運動機能失調といった神経系の症状がでます。

 でもって、切手の上方にちょこっと出ているのがこのビタミンB12の3次元構造分子モデルの一部のようです。(中央に6配位しているコバルト)(滋賀県acetone様情報)

ちなみにビタミンB12全体はこんな格好だそうです。

 私もひとしきりChem3D(注)でグリグリしてみましたが、結局切手に写っているのがどの部分かよく分かりませんでした(笑)。
 補足証拠: 切手右に描かれているホジキン博士は1956年にX線でこのビタミンB12の3次元構造解析に成功し1964年にノーベル化学賞を受賞しております。
 また、それ以外にも1949年にはペニシリン、1969年にはインスリンの構造決定をしたそうです。 3人の子供を育てながらこれだけの仕事をやり遂げたホジキン女史は大したおっかさんです。
 ・・・するってーと、この写真での年齢サバ読んでないか?

 注: Chem3D 物質の分子構造をコンピュータ上で3次元的に組み立て・表示できるソフト。勿論、分子をグリグリ回す事も出来る。(結構楽しい)  ただし、結構なお値段するんですこれが。 本もそうですが、専門品というモノは概してウゲと思う程お高いモノなのです。


発見者じょーじ すっぱまんビタミンC
ビタミンC
 ビタミンCはだいたいこんな格好してます。このビタミンC、果物に多く含まれているので摂取するのは難しくありませんが、消費が多い上に、人間は体の中で作れないので、欠乏しやすいビタミンです。
ビタミンCの結晶
ビタミンC結晶
 このビタミンCは水に溶けやすく(水酸基-OHが多い奴は大概そうなんです)熱にも弱いので、果物は生のままいただく方が良いでしょう。 ちなみにネズミ、ウサギ、犬などはビタミンCを体内で作る事ができるので、これらの動物でビタミンC欠乏に関する動物実験をしてもほとんど意味無しのようです。
 ビタミンCは正式には「L-アスコルビン酸」。「酸」とあるからには酸っぱい。私が学生時代、実験用試薬のL-アスコルビン酸をなめた事がありますが、おもいっきり酸っぱかった記憶未だに残ってます。(考えただけで涎が出てきた・・・) ただし、柑橘類などの果物にそこまで高濃度のアスコルビン酸がある訳でもないので、その酸味は専ら「クエン酸」によるものだそうで。

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