天然硫黄 らぼあじぇさん

S 硫黄(Sulfer)

     原子番号:16 原子量:32.066

「硫黄(化合物)は臭いが役に立つ」

 硫黄は火山などで天然にも産出するので、有史以前の昔から知られた物質です。(ちなみに火山特有の卵が腐ったような臭いも硫黄化合物*1 硫黄自体は臭くない) 元素として認識したのはラボアジェさん
硫黄in工業
 古くからいろんな物に利用されており、黒色火薬の原料の一つ、錬金術でも重要な物質として重用されていました。近年に至り天然ゴムに加え加熱する(加硫)事で、現在でもタイヤへの使用にも耐えうる高弾性の硫化ゴムを生み出している。化合物として一番有名なのは、世界最大の化学薬品である硫酸H2SO4で工業的にも幅広く使われており無くてはならない強酸の地位を維持している。
acid rain SOX NOX
 ただし、この硫酸には負の側面-酸性雨-でも有名である。化石燃料にも硫黄が含まれており、燃焼すると二酸化硫黄や三酸化硫黄(総称してSOXと呼ばれている)を発生し、これが空気中の水と反応し硫酸となる。その為、雨は酸性となり森林の立ち枯れ、土壌・湖沼の酸性化など環境に悪影響を及ぼしている。酸に弱い大理石や銅でできた歴史的遺産もダメージを受けています。
 また、硫黄は、アミノ酸のシステイン・メチオニンやビタミンB1等に含まれており、生体にも重要な元素となっております。
 意外なことに硫黄は金と反応して強い結合を作る為、最近硫黄化合物のチオール(R-SH)*2を金表面に綺麗に並べ表面の化学的性質をコントロールする自己組織化単分子膜(この名称には異論もあり)の技術が確立され学術的にも注目を浴びている。
*1  硫化水素H2S。青酸ガスよりも毒性が強いが、余りにも臭いので微量でもすぐ気が付くのでそれ程には恐れられてない。
*2 揮発性のある硫黄化合物は一般に非常に臭い物が多いが、このチオールと言うのももっぱら臭い!無臭の都市ガスに危険を臭いで検知するために微量加えられるtert-ブチルチオールものたうち回るでは済まない位臭い。臭いので有名なスカンクの屁もチオールの仲間のせい!

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