コペンハーゲン800年 図案は風車と中世の要塞 |
ヘベシーさん:化学反応研究における トレーサーとしての放射性同位体の 応用研究でノーベル化学賞も受賞 |
似て非なる物
ハフニウムはコペンハーゲン大学のニールス・ボーア研究所でD.コスターとG.ヘベシーがジルコニウム鉱物ジルコンからX線分析と分別結晶を繰り返して1923年に発見された。人工元素を除けば最後から二番目の発見である。元素名および元素記号は、コペンハーゲンのラテン名”Hafnia”に由来。
ハフニウムは周期表上でジルコニウムの真下に位置しており、さらにはランタノイド収縮(正確にはハフニウムはランタノイド元素ではないが周期表でその隣にあるので効果は持続している)という現象でイオンサイズ(Zr4+:0.87Å、Hf4+:0.84Å)までほぼ同じな為、化学的性質は酷似している。(発見が遅かったのもそれ故の分離の困難さによる)地殻には3.3ppm程存在し、ジルコン等ジルコニウムを産出する鉱物中に共存する。結果、ジルコニウムの副産物として結構得られるのでレアメタルに分類されている割には値段はそんなに高くは無い。
放射性トレース法は人体にも応用されたため ヘベシーさんは「核医学の父」とも呼ばれている |
そんなソックリさんな二元素だが、面白い事に中性子に対しては全く真逆な性質を持つ。すなわちジルコニウムは中性子を良く透過するのに対し、ハフニウムは中性子を極めて良く吸収する。そのためハフニウムは原子炉の制御棒などに使われている。互いの元素の存在が、互いの中性子に対する特質の足を引っ張る事となるので、この二元素の分離は厳密に行われている。 *:化学的性質は一般に原子の電子配列(特に最外殻電子)に起因するが、中性子に対する性質は原子核の安定性に関連している(例:ハフニウムには中性子数だけが違う安定核種として原子量174,176,177,178,179,180と多数存在する)