鮮烈の赤
ユウロピウムは1896年にフランスのドマセルにより発見され、ヨーロッパにちなんで命名された。 ユウロピウムは軽希土類の中で最も存在量が少ないが、他の希土類元素が三価の状態にのみなるのに対し、ユウロピウムは三価(Eu3+)のみならず二価(Eu2+)にもなりうるので、その抽出は比較的楽である。
また三価のユウロピウムは強く赤い蛍光スペクトル(615nm近傍)を示すため、その化合物は赤色の蛍光体としての利用価値が高い。
1968年から1970年代に日立製作所が製造・販売していた大ヒット商品に「キドカラー」というカラーテレビがあった。このテレビのブラウン管(ELテレビや液晶テレビの普及で今や絶滅危惧種)で発色する蛍光材料に「希土」類元素が使われて従来品より「輝度」(特に赤)が高かったのでその名がつけられている。この赤にもユウロピウム化合物が使われていたと思われる。企業秘密で教えてくれないけど
ある種のユウロピウム錯体は結晶が割れる時に発光するフラクトルミネッセンスを示す。これも暗室なら視認できる程の鮮やかな赤い光である。(化学工業51(9), 14 (2000))うちの研究所(産業技術総合研究所)の一般公開でも子供たちにデモ実験してもらいました。