アセチレンを重合して作り(-CH=CH-)nという構造を持つ高分子である(切手ではシス型ともトランス型とも言えない構造だが)。ここでは灰色の部分が炭素・水素の骨格でオレンジ色の部分が二重結合のπ軌道である。 切手左下に導電性高分子とあるがこれだけでは大した導電性は出ない。導電性を出すにはこれにヨウ素など電子を奪うアクセプターかアルカリ金属などの電子を与えるドナーを加えてポリアセチレンのπ(パイ)軌道に欠陥を作り、その欠陥がπ軌道を伝達して高い導電性を示すようになる。 ポリアセチレンは白川英樹博士により、従来より濃厚なチーグラー・ナッタ触媒の界面にて重合を行うことで薄膜状のポリアセチレンを得ることに成功し、さらに前述の化学ドーピングで金属に匹敵する電気伝導度が出るようになった。これが世界で初めての導電性高分子の発見である。 2000年白川博士はこの業績によりアラン・ヒーガー、アラン・マクダイアミッドと共にノーベル化学賞を受賞した。
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