リンゴ酸は不斉炭素を持つ立体化学において重要な分子である。不斉炭素とは、平たく言うなら4つの結合が全て違う基と繋がってる炭素で、これがあると分子式は同じでも違った構造を持つ分子が存在する。リンゴ酸を例にすれば、切手シート地に描かれてる上の分子模型がL-リンゴ酸で、下のがD-リンゴ酸で、二つの分子が鏡に写したような対称的な構造をしている事が良く判る。この二つは同じ構造式を持っていても、施光性などでは異なる性質を持つ。
ワルデンはL-リンゴ酸に五塩化リンを反応させ酸化銀を介して水を反応させる事によりD-リンゴ酸を作る事(切手シート背景の黒板書 下図に全反応を示す)に成功し、このように構造が反転する現象をワルデン反転と呼ぶ。
なお、リンゴ酸というくらいだからリンゴなどの果物に含まれるが、これはL体の方だけでD体は入っていない。