中国で2022年に発行された「科学技術創新」のうちの一枚です。バッタに分子構造式という意外そうな取り合わせですが、この分子(4-ビニルアニソール)はバッタを誘引する物質「フェロモン」なのです。(Nature記事)
アフリカや古来中国*では、トビバッタ(日本でも見かけるトノサマバッタはこの一種)が大量集団発生すると移動しながらありとあらゆる植物を食らいつくします。まさに通った後はペンペン草も生えてないといった具合で、当然穀物をはじめとする食用植物も無くなるため「蝗害」として恐れられている。
トビバッタも少数の時は大した問題にはならないが、大量になるとハネが長くなって飛びやすくなり色も暗色化するといった正に「変身」(仮面ライダーブラックは多分コレに由来)をして災害を大きなものにしている。(変身したバッタは専門用語では「群生相」と呼ばれている)日本では群生相になる事はほぼ無いのでピンと来ないかも知れないが、このフェロモン(4-ビニルアニソール)を使ってバッタを誘導できれば蝗害も抑えられると大期待されて「科学技術創新」の切手として登場している。
*: 三国志にも、曹操の兗州奪還戦の際、蝗害が発生し食糧不足で曹操軍・呂布軍の双方とも兵を引いたという下りがある。(第12回 陶謙が三度徐州をゆずり 曹操は火の海のただなかを走る)