Oligomannate GV-971
背景がけばすぎて見辛いですが、中央に化学構造式がでかでかと書いてあります。左部分にマンノースという糖*の一種の誘導体(5位の炭素につながる-CH2OHが-COONaに変換されている)が多数つながっている(重合)のが表現されており、そこに(切手の裏糊などにも使われている)ポリビニルアルコールのしっぽを二本つけており、さらにその末端はこれまた-COONaがつけられている。親水性の高い水酸基(-OH)やカルボン酸ナトリウム塩(-COONa)がやたらとあるので、見るからにめっちゃ水溶性が高そうである
この分子何の役に立つのかというとアルツハイマー病の治療薬として期待されています。現時点ではアメリカ食料医薬品局(FDA)も臨床試験の開始を承認(2020年)している段階 原理としては腸内環境を整えることで脳内の神経炎症の抑制を促すと考えられているそうで、背景に人間の腸と脳が描かれてるのはその為です。
近年こういう最新の科学ネタをちょくちょくぶっこんでくる所からも、中国科学に勢いがあり国としても力をいれているのが伝わってきます。
*: 単糖C6H12O6と表記されるは2~5位が不斉炭素なので24=16種類もの構造異性体があり、受験生を悩ませている。そのうちの一つがマンノース。
その内ブドウ糖(α-グルコース)が多数つながった物(重合体)がでんぷんである。紙の紙たるゆえんのセルロースもブドウ糖の重合体だが、こちらはβ-グルコースで構成されている。分子形状もでんぷんはらせんなのに対し、セルロースは直線的と大きく異なっている。ヨウ素デンプン反応ではヨウ素がこのらせん構造に入り込み青紫に発色するが、直線構造のセルロースでは発色しない。
またブドウ糖(α-グルコース)と果糖(フルクトース)がつながった二糖がショ糖(ほぼほぼ砂糖)であり、こんにゃくの主成分である食物繊維のグルコマンナンはマンノース(こっち多めね)とグルコースの重合体。
なお、プラスティックなどの高分子で重合しているのをpoly-(ポリ)と冠するように、糖の重合体にはoligo-(オリゴ)と頭につける。CMなんかでもよく聞くオリゴ○○の語源はまさにこれ。
なんか長くなっちゃったので糖の切手を紹介する時が来たら移植します
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