どアホな奴等(科学切手編 Part 3)


そりゃワシにも判らんばい

上級編その1:人間は考える葦である?

 考えています。 ノーベルさん頬に手を当てひたすら考えています。

N2 + 2H2O

・・・・・・・・・・・・・・・?


何が起こるというの? 私には判りません。 多分彼は永遠に悩み続けることでしょう。 何か明(迷)回答があったら教えてあげて下さい。


なんか文句あるー

その2:あくまで堂々と

 もはや言い逃れもできない。 完全に開き直ったとしか思えません。

水素の周りに結合する炭素が4つ

それも分子模型だけならまだしも、はっきりと「H」「C」と明記している。 ただ単に「H」と「C」を書き間違ったとしても、それでもなお変。(水素が二つの炭素と結合してる) 君、君現行犯だよ。 有罪、有罪、実刑判決でてるよ。
 少しだけ弁明をするなら、プラスチック加工を表現したかったようです。



逆反応

その3:逆反応

 F.F.H. Moissan フッ化水素を電気分解してフッ素単体を得た。 切手中に描かれてる実験装置はその電気分解装置。 ♪なのにーなーぜー

H2 + F2 → 2HF

 せっかく単離したフッ素(F2)をフッ化水素(HF)に戻してどないすんじゃー!

 ちなみに、モアッサンはこのフッ素の研究で1906年にノーベル化学賞を受賞してます。



これは安全? これはあぶない?

その4:さてここで問題です


 右の二枚の切手のうち片方は間違っています。 どちらがどのように間違っているでしょうか?
 色合いが違うってのはなしです。


解答:
1. 国の名前が間違っていると思った人 ⇒ 不正解
 South West Africe (SWA)は1990年にナミビアになったので、国の名前は違っているけど間違いではありません。

2. 化学式が間違っていると思った人 ⇒ ピンポーン正解です

 右の切手はCu6Si6O18・6H2O
 左の切手はCU6Si6O18・6H2O

正しいのは右!翠銅鉱(Dioptase;CuSiO2(OH)2の方が判りやすいけど)です。いかにも銅っていう色ですね。皆さんも10円玉が青緑色のサビが出ているのは見たことがあるでしょう。あの色と由来は同じです。
 左ならCu(銅)ではなくCU(炭素とウラン)・・・。どへー、放射線ばしばしー。

3. 右下の年号が違うと思った人 ⇒ 不正解
 ・・・・・ よくもまあ、そんな小さな所見つけましたね。 でもそれは発行年が違うだけで間違いではありません。 もしかしたらあなたは結構ひねくれ者かもしれません。 そんなあなたは科学者にピッタリです。


OかBか?

その5:医療ミス?

 占いでもすっかり定着した血液型、発見は意外と遅くて20世紀初頭(1901年)。 発見者はランドシュタイナー氏。(切手の人物;ただし彼が発見したのはA,B,Oで当時はA,B,C型と呼称していた)
 でもって、右側には血液型テストが描かれています。 そんじゃちょっと、復習してみましょうか。
AB型(一番右)はA型やB型と混ぜると固まってしまう(ピンク)から輸血できません。
A型は(一番左)はB型と混ぜるとこれまた固まるが、A型なら大丈夫(上:赤)なので輸血できます。
O型は(左から2番目)・・・・あれ?  B型(左から3番目)は・・・・あれれ?
 こぉらぁぁー O型とB型間違うとるやないか!
人殺す気かいな・・・


よくよく見れば 間違いイパーイ

その6:一見いい感じなんですが・・・

 2005年に愛知で開催された愛・地球博を記念したロシアの小型シートです。

 シート地の右下に周期表が描かれており化学の雰囲気を醸し出していい感じですが、よくよく見てみると・・・

 
 なんかいっぱい間違いがあるしっ!
左上  誤: 32Se → 正: 34Se  (セレンの原子番号は34ですっ)
中央上 誤: 17Cl 15.457 → 正: 17Cl 35.457
(原子量誤記 塩素はそんなに軽くないです)
左下  誤: 53J → 正: 53I  (Jってなんだ?!53番はヨウ素Iです Jで始まる元素記号はまだありません
右下  誤: 19Fe → 正: 26Fe  (鉄の原子番号は26!)
資料そのまんま写せばよいものを・・・人これを蛇足という


Curie or Not Curie

その7:MarieであってもCurieじゃない

 「はいはい、よくあるマリー・キュリーの切手ね」っと、そこを素通りするお兄さん、ちょ、ちょっとお待ちを!

 このシート地の方のポーズ、マリー・キュリーの有名な実験風景とちょっと違ってます。御尊顔もいつもより小奇麗な感じです。ついでを言うなら背景の分子も結構怪しげです
 実はこの絵の元は、一人芝居でマリー・キュリーの人生をSusan Marie Frontczakが演じた時の写真なのです。 証拠
 この劇は米国をはじめ世界各国で長い間公演されていたようで、インターネットなどにその写真が流通していたのを、勝手にマリー・キュリーだと勘違いしてデザインにしたというのが真相のようです。
 このトーゴに限らずマリ、ザンビア、ギニアベサウ、ギニアといった名だたる(切手の世界では)怪しげな国が同様のしくじりをやらかしちゃってます。

情報を下さった「切手が伝えるマリアの図像学」の著者 小杉 健 様ありがとうございます。


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